僕のTwitterのタイムラインに、こんなNAVERのまとめ記事が流れてきました。
結構バズっていたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
このまとめが非常に分かり易い形で、
2012年現在の「CD(音源)の価値」を示してくれています。
僕は現在、広告会社で音楽案件を担当するセクションに身を置いています。
僕のお客様であるレコード会社がCD不況に喘ぐようになってから、
もう随分な年月が経ちました。不況具合は数字で見ると、こんな感じです。
引用元: http://www.officiallyjd.com/archives/58830/
パッケージのセールスは、この10年間で約半分以下まで落ち込みました。
また、パッケージにとって変わられると期待された配信も、
・JASRAC 音楽を安価で出したくない (参考:日本経済新聞)
・ガラケー→スマホ乗り換えに伴う着うた不振 (参考:livedoorニュース)
・年間違法DL数(推定)は正規DLの約10倍、43.6億ファイル (参考:ファイル・ウェブ編集部)
色々要因は考えられますが、伸び悩んでいます。
昨今のCDセールスを支えてくれているAKB勢ですが、
ご存知の通り、その売り上げを支えているのはパッケージに内封された握手券や投票券です。
AKBに限らず、こうした手法でファン一人の投資金額を引き上げ売上を確保する手法も、
すっかり定着したと言っていいでしょう。
そうしたCD購入者限定の握手会やハイタッチ会、サイン会等の、ビジネスモデルがあとどれだけ続くのかは分かりませんが、AKB48に関してはそれだけに留まらない“ファンとの関係値構築の巧さ”を感じるので、このムーブメントはまだもうしばらく続く予感がします。(そこら辺の話題に関しては、もう少し先のブログで言及したいと思っています。)
ともあれ、あらゆるものがインターネット上でソーシャライズされ、
コンテンツをフリーに楽しめてしまう2012年の現代において、
120mmの円盤=音源単体の価値って、まさにこれなんだと思います。
少し極端な画像を引っ張ってきてはいますが、
熱狂的なファンを抱えるAKBというアーティストにおいても、
その音源に価値は発生していません。
一昔前までは、音源の露出方法はマス媒体がベース(映画、ドラマ、CMのタイアップ、ラジオ)の一方向的なものばかりで、興味を持ったその曲に僕達が能動的に接触するには、CDを買う(借りる)他ありませんでした。
photo credit: thms.nl via photo pin cc
それがネットメディアの発達、コンテンツのデジタル化によって、公式非公式問わず音楽はYouTube、ニコニコ動画、viemo等の動画共有サイトで、Spotifyのような音楽ストリーミングサービスで共有されるものとなり、音楽は好きな時に、好きなものを、好きなだけ聴く(視る)ことができるようになりました。対価を払わず、違法にダウンロードし携帯することもできます。
そうした環境下で音楽と付き合ってきた若きデジタル世代は、
そもそも“音源にお金を払う”という感覚自体が無いに等しいのです。
(僕もよっぽどのことが無い限り、CDを買うことはありません。)
ライトなユーザーはお金を払わずに音源だけを楽しみ、コアなファンだけが、その音源の先にあるアーティストや音楽体験に投資をする、その結果としてCDが売れる時代です。そのためCDの売り上げは、ファンとアーティストとのキズナの強さ示すエンゲージメントの指標に言い換えられ、その点でAKB48のファンとのエンゲージメント構築は非常に秀逸だと言えるのです。
楽曲のメロディ、詩、世界観、アーティストの人格や音楽性に共感し、その音楽活動の構造の中にしっかりと自身が組み込まれ、参加を自覚しながら様々な双方向コミュニケーションを経て共感が確信に変わり、初めて生活者(ファン)はCDに手を伸ばすようになるのです。
それでもCDが、昔のようには売れることもうないでしょう。
どんなにファンとアーティストがエンゲージメント出来ていたとしても、です。
結論を言ってしまえば、ソーシャル時代を迎えたことで音楽産業はパッケージで儲けるという旧来ビジネスにいよいよ終止符を打ち、取り巻きのビジネスも、より多様な形態に分散していくと思われます。(というより、そうならなければいけません。)
その中でも音楽関係者の方々が注目し、
マネタイズのしくみとして重要視しているのがライブマーケティングです。
photo credit: Gueоrgui via photo pin cc
CDがさばけないのにライブ?と思われるかもしれませんが、こんな面白いデータがあります。
(参考:伊藤 雅啓 氏ブログ)
これを見る限り、決して世の中的に音楽離れというわけではないようです。
あるいは生活者は、個として音楽を消費するより、オンラインでもオフラインでも複数人で共有しながら音楽を楽しむという、誰かとの関わり合いを前提としたとても社会的な楽しみ方を求めているのかもしれません。
そんな中で、伊藤個人としてはオフラインのライブと、オンラインのソーシャルメディアを融合させ得る、NFC(近距離無線通信)をベースとしたオンライン・ツー・オフライン(O2O)の取り組みに、今後の音楽を元気にしてくれる可能性があるのではないかと、非常に期待しています。
その辺りの先行事例等も、今後のブログの中で備忘録(紹介)していければと思っています。
お付き合い下さり、ありがとうございました。
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