早いもので、今年ももう2月半ば。15年末-16年始とバタバタで、全然書きたいブログを書く事ができず、ようやく落ち着いてきたので、備忘録の意味も込めて。ちょっと遅めにはなりますが、昨年1年間の映画興行を振り返ります。
皆さんは、2015年は何本の映画を、劇場でご覧になりましたか?
一昨年は『アナと雪の女王』が興行収入255億という、日本史上歴代3位の空前の大ヒットとなり、業界に地殻変動を起こしました。記憶にも記録にも残る年から1年、2015年の映画興行はどうだったかというと…
前年を超える、大豊作の映画イヤーとなりました。
●2015年興行収入ランキングベスト30
順位 | 興収(億) | タイトル | 出演/監督 | 公開日 |
1位 | 95.3 | ジュラシック・ワールド | クリス・プラット, ブライス・ダラス・ハワード(監督)コリン・トレヴォロウ | 2015/08/05 |
2位 | 91.8 | ベイマックス | (声)スコット・アツィット (吹替)川島得愛, 菅野美穂, (監督)ドン・ホール, クリス・ウィリアムズ | 2014/12/20 |
3位 | 78.0 | 映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン! | (声)戸松遥 , 関智一 , 小桜エツコ(監督)高橋滋春, ウシロシンジ | 2014/12/20 |
4位 | 58.5 | バケモノの子 | (声)役所広司, 宮崎あおい,染谷翔太(監督)細田守 | 2015/07/11 |
5位 | 57.3 | シンデレラ | ケイト・ブランシェット , リリー・ジェームズ(監督)ケネス・ブラナー | 2015/04/25 |
6位 | 52.1 | ミニオンズ | (声)サンドラ・ブロック , (吹替)天海祐希 , (ナレ)真田広之 , (監督)ピエール・コフィン , カイル・バルダ | 2015/07/31 |
7位 | 51.4 | ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション | トム・クルーズ , ジェレミー・レナー(監督)クリストファー・マッカリー | 2015/08/07 |
8位 | 46.7 | HERO | 木村拓哉 , 北川景子 , 松たか子(監督)鈴木雅之 | 2015/07/18 |
9位 | 44.8 | 名探偵コナン 業火の向日葵 | (声)高山みなみ , 山崎和佳奈 , 榮倉奈々(監督)静野孔文 | 2015/04/18 |
10位 | 40.4 | インサイド・ヘッド | (声)エイミー・ポーラー , (吹替)竹内結子 , 大竹しのぶ, (監督)ピート・ドクター | 2015/07/18 |
11位 | 39.3 | 映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記 | (声)水田わさび , 大原めぐみ , 田中裕二(監督)大杉宜弘 | 2015/03/07 |
12位 | 37.4 | ドラゴンボールZ 復活の『F』 | (声)野沢雅子 , 中尾隆聖 , 山寺宏一(監督)山室直儀 | 2015/04/18 |
13位 | 35.4 | ワイルド・スピード SKY MISSION | ヴィン・ディーゼル, ポール・ウォーカー(監督)ジェームズ・ワン | 2015/04/17 |
14位 | 32.5 | 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN | 三浦春馬 , 長谷川博己 , 水原希子(監督)樋口真嗣 | 2015/08/01 |
15位 | 32.1 | アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン | ロバート・ダウニー・Jr , クリス・ヘムズワース(監督)ジョス・ウェドン | 2015/07/04 |
16位 | 28.4 | 映画 ビリギャル | 有村架純 , 伊藤淳史 , 野村周平(監督)土井裕泰 | 2015/05/01 |
16位 | 28.4 | ラブライブ! The School Idol Movie | (声)新田恵海 , 南條愛乃 , 内田彩(監督)京極尚彦 | 2015/06/13 |
18位 | 27.7 | 映画 暗殺教室 | 山田涼介 , 菅田将暉 , 椎名桔平(監督)羽住英一郎 | 2015/03/21 |
19位 | 27.4 | ターミネーター:新起動/ジェニシス | アーノルド・シュワルツェネッガー , ジェイソン・クラーク , (監督)アラン・テイラ | 2015/07/10 |
20位 | 26.2 | BORUTO-NARUTO THE MOVIE- | (声)三瓶由布子 , 菊池こころ , 竹内順子(監督)山下宏幸 | 2015/08/07 |
21位 | 26.1 | ポケモン・ザ・ムービーXY 光輪(リング)の超魔神フーパ | (声)松本梨香 , 大谷育江 , 藤原竜也(監督)湯山邦彦 | 2015/07/18 |
22位 | 25.1 | テッド2 | マーク・ウォールバーグ , アマンダ・セイフライド(監督)(声)セス・マクファーレン | 2015/08/28 |
23位 | 24.3 | ヒロイン失格 | 桐谷美玲 , 山崎賢人 , 坂口健太郎(監督)英勉 | 2015/09/19 |
24位 | 23.8 | イントゥ・ザ・ウッズ | メリル・ストリープ , ジョニー・デップ(監督)ロブ・マーシャル | 2015/03/14 |
25位 | 23.6 | アンフェア the end | 篠原涼子, 永山絢斗 , 阿部サダヲ(監督)佐藤嗣麻子 | 2015/09/05 |
26位 | 23.2 | ストロボ・エッジ | 福士蒼汰 , 有村架純 , 山田裕貴(監督)廣木隆一 | 2015/03/14 |
27位 | 22.9 | 映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~ | (声)矢島晶子 , ならはしみき , 指原莉乃(監督)橋本昌和 | 2015/04/18 |
28位 | 22.5 | アメリカン・スナイパー | ブラッドリー・クーパー , シエナ・ミラー(監督)クリント・イーストウッド | 2015/02/21 |
29位 | 20.2 | 寄生獣 | 染谷将太 , 深津絵里 , 阿部サダヲ(監督)山崎貴 | 2014/11/29 |
30位 | 20.0 | THE LAST-NARUTO THE MOVIE- | (声)竹内順子, 中村千絵, 森久保祥太郎(監督)小林常夫 | 2014/12/06 |
参照:http://entamedata.web.fc2.com/movie/movie_j2015.html
アナ雪のような歴史的なヒットがあったわけではありませんが、『ジュラシック・ワールド』と『ベイマックス』の90億超の大ヒットが2本に、50億超のヒットが6本、30億以上のヒットが8本。
ランキング30位までが全て20億以上の成績を挙げているように、平均して中〜大当たりをしています。
ランキング30位までが全て20億以上の成績を挙げているように、平均して中〜大当たりをしています。
〈95億円越えの大ヒットとなり、夏の大作争いを制した『ジュラシック・ワールド』〉
〈日本でのローカライズ宣伝に成功した『ベイマックス』〉
そして、何より個人的に嬉しかったのが、洋画勢の勢いです。TOP10の内6作品が洋画という、近年希に見る洋画イヤーとなりました。
日本の映画マーケットは(邦>洋)、そしてフランチャイズアニメを中心にヒットする傾向になって久しく、20億もいけば洋画実写は大ヒットというのが今の市況。
映連の発表では、2015年の年間総興行収入は2171億円で、前年比105%。延べ入場者数は1億6663万人で、前年比103.4%増と、興行・動員ともに上向きとなりました。
ただ、アナ雪のような1作品を2000万人が映画館で観るというイレギュラーな作品が登場しなかった昨年は、述べ来場者数が増えた=相対的に1人の劇場鑑賞回数が増えた、ということになります。
つまり、映画人口の広がりというより、映画好きが何度も映画館へ足を運んだ〜という、映画ファンの〈深まりの1年〉であったことが伺えます。
映画好きを中心に3Dや4Dなど、通常より単価の高いリッチな鑑賞需要が高まったのも、市場の上向きに貢献したと言えるでしょう。
●16年洋画の興行的展望
今年の洋画ラインナップを見てみると、ディズニーは16年も強力かつ盤石な布陣を敷いています。
(C) 2016 Disney / Pixar. All Rights Reserved.
(C) 2016 Disney / Pixar. All Rights Reserved.
(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
また、「ラプンツェル」「シュガーラッシュ」「アナ雪」「ベイマックス」と、近年はピに比肩する程クオリティを上げているディズニーアニメーションスタジオから、ハイテク文明社会の動物達を描く『ズートピア(4/30)』。
(C) 2016 Marvel.
(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.
(C) 2016 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.
今年も洋画がディズニー中心の興行が予想される一方で、昨年あまりスポットライトの当たらなかった20世紀フォックス。
(C) 2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
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また、ワーナーブラザーズも昨年「マッドマックス/怒りのデスロード(18億)」や「アメリカン・スナイパー(20億)」でヒットを記録していましたが、16年も充実のラインナップとなります。
(C) 2016 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
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さて最後に、宣伝(マーケティング)的な話し。16年の洋画興行を占う所で、日本におけるヒットで大切なのが“国内へのローカライズ戦略”です。昨年では「ベイマックス」が、その典型でしたね。
※過去ブログ参照
〜16年 オデッセイの場合〜
①米国公開10月 → 日本公開2月
→大作との公開バッティング回避、宣伝スケジュールの確保
②原題「MARTIAN」 → 邦題「オデッセイ」
→よりSF映画として耳なじみ・分かりやすさ重視のタイトル設定
③漫画「宇宙兄弟」とコラボした劇場予告の制作
→客層を映画好きから、一般層まで敷居を下げる施策
④スター・ウォーズへの予告アタッチ
→延べ800万人以上へのリーチと、次映画館で観るならこの1本の雰囲気づくり
⑤潜在ターゲットへプロモツィート、Facebook広告
→映画ファンは勿論、こちらも一般層への囲い込み施策として
以上の点で、現在大ヒット中の映画「オデッセイ」は日本に馴染ませるため、限りあるコストの中で客層を広げるため【押さえる所】をきちんと押さえている感でした。
映画の興行的成功において、毎回賛否が別れるローカライズ施策ですが、配給側が、映画という商品をマーケティングする上では必要不可欠な努力です。
ラインナップも充実している2016年。そうした影の努力もありつつ、引き続き劇場と世の中が賑わうことを、一人の映画ファンとして期待します。