2014年12月29日月曜日

【厳選】25歳 映画宣伝担当が振り返る 2014年映画ランキング

-2014年 映画興行収入ランキング-

《1位〜10位》

《11位〜20位》

《21位〜35位》
引用:映画ランキングドットコム http://www.eiga-ranking.com/boxoffice/japan/


皆さんは今年、映画を何作品くらいご覧になりましたか?日本の映画マーケットは(邦>洋)、そしてフランチャイズ作品がヒットする傾向になって久しいですが、興業面では新作「アナと雪の女王」が歴史的な大記録達成。業界全体を元気にする良いニュースになりました。その他にも映画ファンの好評を得る多くの作品に恵まれ、豊作の1年だったように思います。

そんな今年の映画ランキングに、25歳男子映画宣伝担当者という僕なりの色眼鏡を加え、「これは良かった!今からでも観てほしい!」という作品をベスト10形式でセレクトさせて頂きました。以下より、早速発表します。


10位「ベイマックス」(12.20)



〜あらすじ〜
ひとりぼっちの天才少年ヒロは、亡き兄が人々の心と体を守るために作ったケア・ロボットのベイマックスと共に、危険を冒して兄の死の真相を探る。人を傷つけることを禁じられたベイマックスは、大切なヒロを守り切れるのか?

12月20日(土)に公開されたばかりの、ディズニー映画最新作。観終わった後の「思っていたのと違った、良い意味で〜」という口コミで結構話題になってますね。妖怪ウォッチと同日公開で、初週1位スタートは逃しましたが、土日でガッツリ6億を稼ぎ、最終興収40-50億を見据えた好発進をしています。見所はなんといっても、CGアニメーションによる映像の美麗さです。

アニメっぽくない実写映画的カメラワークが所々あったりするのも、映像の持つ説得力に一役買ってる気がします。東京とサンフランシスコが融合した架空都市サフランソーキョーの街並は、製作陣が何度もリサーチトリップを重ね、絶妙なリアル志向とユーモアのバランスでもって、素敵な街並を表現しています。この3Dアニメを観た後では「スタンドバイミードラえもん」なんて物足りないです。




9位「ネブラスカ〜ふたつの心をつなぐ旅〜」(2.28)


〜あらすじ〜
100万$当選の通知を受け取った老人ウディ(ブルース・ダーン)。どう見てもインチキだったが、頑固にモンタナからネブラスカまで、徒歩で賞金を受け取ろりに行こうとする父に、息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)が付き添うことに。こうして始まった父と息子の4州をまたぐ車の旅。途中、立ち寄った父の故郷で、息子デイビッドは父の意外な過去を知ることになる。

自分の親父ってどんな人だったんだろう。どこで生まれ、どんな兄弟がいて、母さんとどう出逢い、どんな仲間がいたんだろう。ネブラスカは「親父」を知ることで親父を・家族・親族を、愛おしいと思う映画です。「ベイマックス」のような興業作品というより“好きな人向けの映画”なのですが、一見の価値あります。

全編モノクロ(シネスコ画角)で、超ゆる〜い雰囲気ではじまり、最後までその雰囲気を首尾一貫してるのですが、気づけばこの二人の顛末が気になってしょうがなくなってます。こんなに地味なのに、やってることのスケールはこんなに小さいのに、なんでこんなに面白いのか。素晴らしいストーリーテーリングです。



8位「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(7.4)


〜あらすじ〜
日本のライトノベル原作、トム・クルーズ主演のSFアクション。ウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)は、侵略者との戦争の最前線に送り込まれ命を落とす。しかし、タイムループの世界にとらわれ、戦闘と死を繰り返す。そんな中、特殊部隊のリタ(エミリー・ブラント)と出会った彼は、彼女と一緒に何度も戦闘と死を繰り返しながら戦闘技術を向上させ、戦争の核心に迫って行く。

映画導入部分、ヘタレな軍の広報役のトム・クルーズの、逃げ出したいのに逃げ出せない、どうしようもないことに巻き込まれてく感が秀逸。鬼軍曹との、何をしゃべっても言葉通じない超体育会系なコミュニケーションとかも笑えます。主人公と視点を共有させながら、どうしようも無い感に観客を巻き込み、死を重ね強くなるトムに、ワクワクさせる。前半〜中盤にかけて、気持ちの誘導が上手いな!という感じ。後半それを活かしきれてないんじゃ、、という部分もありますが、そこは映画の最後、伝家の宝刀「トム・クルーズ・スマイル」がカバーしてくれてます。



7位「猿の惑星/新世紀」(9.19)


〜あらすじ〜
人類の9割が死滅した2020年代の地球。かろうじて生き残った人類はサンフランシスコにコミュニティを築いていた。一方、猿達のリーダーであるシーザーは人類に干渉せず、平和で穏やかに暮らしていた。膠着状態の中、猿・ヒト両陣営の対話派と戦争派が、其々の考えの下に行動を起こす。名作SF『猿の惑星』のリブート『猿の惑星:創世記』の続編。

集団の中に生まれる不肝要やわだかまりなどから、ヒトがいかに戦争を引き起こして行くか。猿の惑星はシリーズといえば、猿を通じて“人間性”が相対化される面白さがあります。今回は特に猿陣営に焦点が当てられる中で「うん、人間ってこうだよね」というポイントが垣間みえ、終始“猿達”に感情移入します。

特に新シリーズは、古典的な映画シナリオ(脱獄もの、奴隷革命もの、異種間友情もの、戦争もの等)にきちんと根ざした、間違いないつくりをしています。その安心感をベースとしながら新シリーズの見所は大きく2つ。主人公シーザー(猿)の“男前っぷり”と、それを超クオリティで表現するモーションキャプチャー技術。王道のシナリオの中に、絶妙にリアルな猿達の仕草や人間っぽい表情を見れば見るほど、猿達を大好きになり、猿達を応援したくなります。旧シリーズ1作目にブリッジするという、次回作にも期待です。


6位「LIFE!」(3.19)


〜あらすじ〜
雑誌「LIFE」の写真部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は、思いを寄せる女性と会話もできない臆病者。唯一の特技は妄想とスケボー。ある日「LIFE」誌の最終刊の表紙に使うネガが見つからないことに気付いた彼は、そのネガを持つ世界中を飛び回るカメラマンを捜しに出かける。ニューヨークからグリーンランド、アイスランド、ヒマラヤと奇想天外な旅がウォルターの人生を変えていく。

意外と知られていないのが、1947年公開の『虹を掴む男』という映画のリメイク作であるということ(原作小説は1939年発表 の短編小説『虹をつかむ男』)。白昼夢をみがちなウォルターのキャラクター等は基本は変わらないのですが、原作はよりファンタジー要素というか、好きな女性のためにヒーローになるような話。「虹を掴む男」(ムービーウォーカー)

リメイク版の今作では、一人の男が旅(冒険)を通じて自分の殻を破る〜、大人のためのおとぎ話という感じで、"現代人の気分”をうまく捉えて作られています。「旅出て人間変われれば世話ねぇよ!」とか思いつつ、この映画が語りかけてくるのは「今を楽しめ」ということだけ。「平凡な日常から、一歩踏み出す勇気が大切だ!」「その一歩が新たなる道を切り開く!」とか説教臭いことは言わず、観た人に寄り添ってくるような、独特な雰囲気を持っています。(この辺りも今っぽいのかもしれません)

基本はコメディで、ネガを巡る物語の意外なミステリー要素が面白い。また劇場の大画面で見る映画のロケ地が本当に素晴らしく、音楽のセレクトもとても心地良いんです。エンドロールで流れる"Escape" & Bahamas featuring The Weather Station, "Don't You Want Me"の緩さが、映画館出るときのとても素敵な余韻につながります。


5位「ミリオン・ダラー・アーム」(10.4)


〜あらすじ〜
スポーツエージェントのJB・バーンスタイン(ジョン・ハム)。キャリアのドン底にあった彼はインドのクリケット選手をメジャーリーガーにすることを閃き、地元テレビ局と「ミリオンダラー・アーム」という番組を企画、コンペに集まった数千人の中から2人の青年ディネシュ(マドゥル・ミッタル)とリンク(スラージ・シャルマ)をアメリカに招くが…。野球未開の地・インドから初のメジャーリーガーを発掘したエージェントの実話を基にしたスポーツドラマ。

こちら側のビジネスのスピード感とまったく違う、インドタイムな現地人にイライラしながらも商談を進めて行き、絶対に役に立たなそうな小柄でお調子者の通訳(パシリ)アミトと出会う。現地の子供達にフライヤー配りも手伝ってもらい、放送網で大告知。徐々に企画が軌道に乗り、参加者がインド中から集まる中、2人の可能性ある若者ディネシュとリンクが見つかる。

荒唐無稽な、誰もが成功をイメージできずにいた企画の「あれ、いけるかも…?」感など、映画前半の一連のシークエンスはノリの良いインドポップスと相まって、かなりワクワクさせられます。

※ディネシュ役のマドゥル・ミッタルは、『スラムドッグ$ミリオネア』の主人公の兄役、リンク役のスラージ・シャルマは『ライフ・オブ・パイ』のパイ役を務めており、どこかで観た事ある〜という方も多いでしょう。

しかし、米国に連れられた野球未経験の2人は、文化の違い、環境の変化など、戸惑いの中でトライアウトを失敗してしまいます。それでもビジネスライクにしか2人に接することができない主人公JBが、周囲の説得を受け、助けを借りて、やがて友として家族として心を通わせるようになる過程は、かなり教科書通りの展開。かなり教科書通りの展開ですが、、、胸があつくなりました。そして映画の最後、通訳アミトの思わぬ見せ場に、良い意味でしてやられる。今年観た映画の中で唯一、涙を流した作品です。



4位「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(11.22)


〜あらすじ〜
22歳でウォール街の投資銀行で働きだしたジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)。巧みな話術で人々の心を瞬く間につかみ、猛烈なスピードで成り上がっていく。26歳で証券会社を設立、年収49億円。富と名声を一気に手に入れ、ウォール街のウルフという異名で呼ばれるようになった彼は、浪費の限りを尽くして世間の話題を集めていく。しかし、その先には思いがけない転落が待ち受けていた。

ディカプリオの怪演傑作、ミスタービーンばりの薬中ギャグ?は必見です。脇を固める役者も同様に素晴らしい演技で、主人公の相棒役のジョナ・ヒルは、アカデミー助演男優賞にノミネートされてます。映画後半に、ドラッグに浸かりきった状態でFBIからの盗聴を阻止しようと、ディカプリオとワチャワチャするポパイパロディシーンは眉を潜める最低のシーンですが、同時に最高のシーンでもあります。

そして主人公の先輩役のマシュー・マコノフィーが本当にオイシイ役。いかれた凄い人感、喋ってる時の表情がいっちゃってる、なのに溢れ出るセクシーさ。主人公とのランチシーンで披露するチェストソングは、真似したくなります。

また、冒頭の人間ダーツのシーンで、人間が投げられた所で映像が止まり、ディカプリオの語りが入る演出。ディカプリオが突然鑑賞者にメタっぽく語りかける演出。マシューマコノフィーが「さぁ、電話をかけろ!仕事だ!」と叫び、オフィスの全員が仕事に取りかかるシーンで、フロア全体を舐めるカメラワークと音楽。極めつけは、エンドクレジットへのバツッとした入り方。

映画自体、3時間と長尺の映画ですが、監督マーティン・スコセッシの良い意味で手数の多い演出や視覚効果が、飽きさせず最低な人間達を見させ続けてくれました。


3位「インターステラー」(11.22)


〜あらすじ〜
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな中、生存可能な惑星の探査に元エンジニアの男クーパー(マシュー・マコノフィー)が抜てきされる。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

世界最高の中二と呼び声高い、クリストファー・ノーラン監督最新作。とんでもテーマも、頭良さそうにシリアスに。理屈っぽく格好つけ、高級そうに撮るノーラン監督。関わる作品の【中二的テーマ】を【中二的アプローチ】で表現せずにはいられない、ものづくりの過程で中二性がかけ算式に増幅されていく、希代の中二監督です(褒め言葉)。

そのため同じ中二テーマの「アベンジャーズ」や「パシフィックリム」「トランス・フォーマー」のようなカラっとした、開き直った作品はこの人には作れません。「ダークナイト」や「インセプション」といったダウナー感ある作品こそ、まさにノーラン監督の真骨頂といえます。

“映画をバカっぽくなく見せる”ノーラン監督最高のスキルとして、映画のルック(ぱっと見)の異常なまでのクオリティの高さが挙げられます。今作もそれは健在で、ポスタークリエイティブはじめ、映像全体のビシっとした鋭さは「おぉ、今回も監督の映画を見てみたい!」という気にさせる、重要なポイントです。

ひねくれ系中二のノーラン監督ですが、今作「インターステラー」では素直な部分と、そうでない部分のバランスが過去作の中で一番取れていたように思います。映画は“古典SF×人間愛”の物語。見終わってみれば、意外なまでに王道感たっぷり映画の動力が“人間の普遍的な愛”や“想い”というテーマで、それを監督なりにもの凄くピュアに描いてる気がします。

ただ、クライマックスの超展開を「ブラックホールの特異点が〜、時空を超え〜」と理屈っぽく説明したり。その前のシーンでアメリア博士(アン・ハサウェイ)が「愛の力〜」を説くシーンを滑稽に、やや残念気味に描写したり。この辺りは、「やっぱり素直じゃねぇなぁ...w」と。ツンデレでいう所の《ツン》をノーラン監督に感じざるを得ませんでした。

とはいえ、これまでのノーラン作品には無いと言っていいくらい、分かりやすく映画の最後に《デレ》(=テーマに対する素直な描写)が待っています。むしろ上記の《ツン》は、この映画の《デレ》を活かす働きになっていて「ノーラン監督こういうの撮れるんだ」と新鮮な気持ちになりました。片目をつむりがちなマシュー・マコノフィーの男演技と、HAL9000・モノリス・R2D2を足して3で割った?ようなロボットTARSの可愛さにも注目です。




2位「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(4.19)


〜あらすじ〜
アベンジャーズの戦いから2年、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)はS.H.I.E.L.D.の一員として活動していた。ある日、S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)を世界屈指の暗殺者ウィンター・ソルジャーが襲撃。その正体は、キャプテン・アメリカの親友で第2次世界大戦で死んだバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)だった…。

クオリティの高いアクション、スリリングな音楽。そして、所属組織の闇に気づき命を狙われ、その追っ手は操られたかつての親友という中二王道設定。2014年最高の骨太アクション超大作です。

魅せ方が本当に上手いアクションは、前作を遥かに凌駕する出来映え。密室エレベーターでの格闘シーン。ジェット機にバイクで向かってく逃走シーン。宿敵ウィンター・ソルジャーとの対峙。重要なアクションの見せ場では、漫画の見開きを想起する決めカットが意図的に、不自然なく用意されていて、男の子なら「かっけー!」と叫びたくなる場面が沢山あります。

そして無駄無く2時間弱にまとめられた綿密ストーリーは、キャプテン・アメリカというアメリカを象徴するヒーローに由来する形で、旧現代アメリカの政治的風刺が含まれています。所属組織の闇に気づき、それ故に追われるという王道のシナリオは、往年のサスペンスアクション「コンドル(75年)」「大統領の陰謀(76年)」からの引用。(その2作で主演を務めたロバート・レッドフォードが、今作の陰謀を裏で操る"S.H.I.E.L.D.”の長官ピアース役として出演しています。)

また、"S.H.I.E.L.D.”の衛星兵器ヘリキャリアによる2000万人暗殺計画は、現実のオバマ政権によるドローンを活用したテロ防止措置のメタファーでもあります。

この辺りは、映画評論家の町山さんの解説がすごく面白いので是非聴いてみて下さい。

町山さんの解説にもあるとおり「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」は、祖国を護るため超人となった、愛国者キャプテン・アメリカのキャラクター像と、密接に関わるシナリオづくりがされています。そんなキャプテンが、操られた旧友と相対したとき「友だちのためなら死ねる。死ぬときは一緒だ。」と、国と自分を護る盾を捨てるクライマックスシーンには、男泣き必死です。

つまらなそうな見た目(ルック)とタイトル。間抜けな格好をしたヒーローは、ビームも打たなければ、空も飛べない。だけど一番人間(僕ら)に近いからこそ、いぶし銀でカッコイイ。70年間冬眠していた90歳の童貞、アベンジャーズの学級委員長こと、どこまでも正義の味方のキャプテン・アメリカ主演。MARVEL屈指の超傑作です。



1位「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(9.13)


〜あらすじ〜
自らスター・ロードと名乗るトレジャーハンターのピーター・クイル(クリス・プラット)。ピーターは無限の力を持つパワーストーンのオーブを入手するものの、その後逮捕され刑務所にぶち込まれてしまう。ピーターは天才メカニックのロケットら刑務所で出会った仲間と脱獄するも、オーブの力で宇宙を滅亡させようとする強大な悪と戦うこととなり……。

古くて新しいスペースオペラ、邪道なようで超王道。こんなに楽しい映画本当に久しぶりです。キャラクター・シナリオ・演出・音楽・デザイン。一つ一つの素晴らしいアイディアが、監督ジェームズ・ガンのセンス(呼吸感)とユーモアで組み合わさり、世界中から“新時代のスターウォーズ”の評価を受けています

映画を楽しくさせる大きなポイントは、キャラクター、音楽、そして映画全体の70年代SFデザイン。

キャラクター達は映画の中で本当に生き生きとしていて、敵として出会い、チームにまとまるまでのテンポとストーリーテリングは超秀逸。各キャラクターの背景・設定を、やり取りの妙・物語の進行で魅せるスマートさがあります。また、終始その掛け合いが軽妙にズレていて、2時間1分の本編でメンバー全員を大好きになりました。

主人公ピーターは、15年「ジュラシック・ワールド」主演の新鋭クリス・プラット。喋るアライグマのロケットは、ハリウッド随一のイケメン=ブラッドリー・クーパー。ツンデレ緑の暗殺者ガモーラは「アバター」のゾーイ・サルダナ。愛嬌たっぷりの歩く巨木グルートは「ワイルドスピード」シリーズ主演のヴィン・ディーゼル。ガチムチ筋肉担当に、元WWEチャンピオンのデイブ・バウディスタ。主役以外のキャストの無駄遣い感がハンパじゃありません。

そして、劇中の様々な場面で流れる70-80年代の楽曲は、主人公ピーターの母親の形見であるカセットテープに収録された、名曲の数々。映画のサントラはUSビルボードチャートで2週連続首位を獲得するなど、高い評価を得ています。

これが、ただの良い音楽集でなく、ピーターの出生・母との心のつながり・シーンの情景説明など、キャラクターの根幹や演出部分に深く関わっています。

中でも冒頭。OPクレジットで、主人公ピーターが雨の降る廃墟の惑星でヘッドホンを耳に当て、SONYのウォークマンでCome And Get Your Love(Led Born)を再生するシーン。この映画の「間違いなさ」を確信する最高のシーンとなっています。

そして映画の最期は、すこしだけ湿っぽく、涙が流れそうになる場面があります。しかし観客を泣かせる前に、すっと明るい「あの曲」に切り替わり、エンディングに入っていく「あの」感じ。本当に、この映画は押し引き・呼吸に優れていて、見終わった後の余韻の良さは、これまでの映画体験に無いものがあります。

そして、そんな心地の良い音楽が、フィクション全快のカラフルな宇宙空間・熱帯魚のような色合いの宇宙船・宇宙人たちと、また絶妙にハモります。

映画は美術、悪役やモブの造形など細部に至るまで細かく、意図的にB級感タップリのつくりとなっており、シナリオの王道感を土台に、とってもユーモアに富んだ「ハズシ」演出・デザインが各所に散りばめられています。(この辺りのセンスが、スターウォーズっぽいと言われる所以かもしれません。)



決して演出やアイディアがスターウォーズに類似しているわけではなく、基本は全くの別物。しかし、スターウォーズに共通するものづくりの考え方(スピリッツ)で、スターウォーズシリーズとは違う、別のSF映画の進化の形を示しています。

この映画、情報量が本当に多く、それらが奇跡的に組み合わさって、非常に重層的な見方をすることができます。

面白く・分かりやすい見せ場が用意された間口の広い作品でありながら、よくよく観ると10秒に1回くらい「あ!」とか「なるほど!」と、作り手のレベルの高さに気づかされます。この感じは、なんだかとてもピクサー映画的。

個人的に生涯ベスト級、スターウォーズ越えです。この最高のエンタテイメントと、リアルタイムで出逢えたことに、嬉しさを覚えるほど。

2014年全米興行収入第1位にして、全世界歴代興業収入も堂々51位にランクインと記録の方もばっちり。偶然にも、50位が1977年の「スターウォーズ」1作目。上映時間も1作目と同じ2時間1分なんて小ネタもあります。是非この映画は、一人でも多くの人に観てほしいです。


以上になります。



※実は14年は本日12月29日時点で「ゴーン・ガール」(デイビッド・フィンチャー監督作)を観ることができておらず、これがかなり良い評判を耳にしています。この映画のルックも相当イケてますね。追っかけて観る予定ではありますが、それ次第では、後でランキングを一部更新するかもしれません。


2015年は14年以上に、超大作が目白押し。
皆さんも是非、素敵な映画体験をして下さい。