2015年1月12日月曜日

【大ヒット】思ってたのと違う!けど面白い、映画『ベイマックス』

(C) 2014 Disney. All Rights Reserved.

映画「ベイマックス」が非常に好調です。昨年12月20日(土)の公開後、週末2日間で興行収入6億超という、ディズニーアニメーションではアナ雪に次ぐ好スタートを切っています。

「妖怪ウォッチ』と公開が重なり、動員・興収とも2週連続の2位に甘んじていたものの、公開3週目に1位に浮上。3週目週末の2日間で動員50万5074人、興収6億6541万4100円をあげ、前週動員比129.9%と、1週目の約46万人をも上回る強い興業を見せています。


〜参考:アナ雪の週別の興業成績〜

1週目(金土日)9億8000万
2週目(土日)8億7226万9400円
3週目(土日)8億8100万円
4週目(土日)8億5091万1950円
5週目(土日)8億4025万8550円
6週目(土日)8億2678万1000円


日本の歴代興業収入第3位のアナ雪ほどではありませんが、ベイマックスも大ヒット作品特有の「落ちない興業」を続けています。前回のブログでは、最終50億は視野に入れた好発進〜と書きましたが、現在それ以上のペースで数字を上げており、最終はおそらく70〜75億達成するでしょう。

洋画実写で20億超えれば大ヒット。最近は邦画も伸び悩み、フランチャイズ作品だけが勝ちやすい現在の映画マーケット。こちらも以前ブログで記述しましたが、以下とてもざっくりと、興業成績ごとの「凄さ感」です。


〜参考:そもそも興行収入100億ってどのくらい凄いの?〜

20億=すごい!
40億=かなりすごい!
60億=めちゃくちゃすごい!
80億=やばい!
100億=お祭り!


そしてこちらもご参考まで、過去の7年のディズ二ー(ピクサー)作品の最終興収です。過去作を遡っても「ベイマックス」がいかにヒットしているか、伺えますね。

ウォーリー(2008年)         最終40億
カールじいさんの空飛ぶ家(2009年)  最終50億
トイ・ストーリー3(2010年)     最終108億
塔の上のラプンツェル(2011年)    最終25.6億円
カーズ2(2011年)          最終30億
シュガーラッシュ(2013年)      最終30億
モンスターズ・ユニバーシティ(2013年)最終89億


「ベイマックス」の大ヒットには、様々な要因が挙げられますが、特に今作は「ソーシャルメディア上のバズ」と「その内容」が、連日の動員に寄与しています。以下は「べイマックス」のソーシャルメディア上における言及数です。(※比較対象「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」14年9月)


※映画「ベイマックス」の言及数


映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の言及数

比べると「ベイマックス」が、公開後も継続的に人々の間で話題となり、高い言及数を維持していることが分かります。

これは、決して比較対象の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が言及されていない、ヒットしていない〜というわけではありません。映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は、実写洋画にして最終10億越えのスマッシュヒットを記録してます。

ここで言いたいのは、ほとんどの作品が通常は初日を頭(山)に話題の数を落とすということです。そして、このように「公開後も継続して言及され続ける」ということが、映画をビッグヒットさせる上で最も重要なポイントとなります。

その点で映画「ベイマックス」は、鑑賞した人が皆口を揃え「予想していたのと違った、けど面白かった!」と、ソーシャルメディア上に感想を共有しています。


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参考)世界各国で異なる「ベイマックス」ポスター マーケティング手法の違いが顕著に(映画.com)

「ベイマックス」の日本での宣伝は、主人公ヒロとケアロボットのベイマックスの《絆》に焦点を当て、打ち出されました。しかし本編を観ると、意外にも『Mr.インクレティブル』的なアクション要素が目立ちます。

MARVELコミックス原案となる映画『ベイマックス(原題「BIG HERO 6」)』は、日本とインターナショナルとでは、かなり色の違った売り出し方をされています。


※映画「ベイマックス」の感情分析



人は気持ちが大きく動いたとき、感情のバランスが崩れたとき、それを誰かに伝えずにはいられません。「内容が思ってたのと違った。だけど映画が面白かった。たしかに感動した。」そういう意味で映画『ベイマックス』は、ユーザーに大いにインパクトを与え、そして“誰かに伝えたくなる”モデルケース的映画と言えます。

宣伝と本編のギャップ。実際に作品の中身がつまらなければ、ネガティブな口コミの原因となりますが「ベイマックス」の場合は【好き:6】【どちらでも:3】【嫌い:1】という具合に、非常にポジティブな言及が多いのが特徴です。

観客は、その予想していなかったアクション要素も含めた作品の面白さを、そして嘘偽りない感動体験を、ソーシャルメディア上で共有しています。

また、そうした《積極的》かつ《ポジティブ》な友人のお墨付きコメントは「どんな映画だろう?気になるな…」「ちょっと、観に行ってみようかなぁ…」と、普段劇場に行かない層も巻き込むことに繋がります。

配給側がどこまで確信犯で、こうした心理をついているかは定かではありません。また、圧倒的商品力があって、始めて成立する現象ではあります。しかし結果として、映画「ベイマックス」の日本におけるローカライズは大成功と言えるでしょう。

もし、まだ観ていないという方は、是非ご覧になってみて下さい。映画「ベイマックス」面白いです。